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2013 年02 月11 日

長崎グループホーム火災事故

長崎グループホームで火災・死亡事故が発生した。 みのもんたの朝ズバを見ていたら、スプリンクラーも設置されていないし、防火扉も自動的に作動しなかったし、2階には防火扉も設置されていなかったし、4階部分が木造で増築されているなど、数々の建築基準法違反があったという。また、入居者にも、こういうグループホームでは入所できない歩けない老人がいたという。コメンテーターの弁護士が「こういう施設は公共のものだからもっと行政が厳しく指導すべきだった」というコメントをしていた。この論調は行政はもっと規制を厳しくすべきだ、グループホームは面積の広狭にかかわらずすべてスプリンクラーや防火扉の設置を義務づけるべきだというものだ。しかし、スプリンクラー等を設置しなかったり、耐火構造になっていないのは、補助金で填補されないほど費用がかかるからだろう。そして、建築基準法どおりの構造・設備とすれば、その分の費用を入居者に負担させざるを得ない。  ここからは私の勝手な推測だが、施設経営者としても私費を肥やして施設に金をかけなかったわけではあるまい。入居者としても、高い費用は負担できないし、他の施設では入所させてくれないし、少々危険でもここしか入所できるところがなかったということではないのだろうか。もしそうだとすれば、規制を強化することは、結局は、施設を必要とする人を排除することになるだけだ。このような惨事を繰り返さないために必要なことは、規制を強化することではなく、行政が必要な費用を全額補助する、歩けない認知老人が入所できる施設をもっと多数設置するということだろう。しかし、日本の財政事情からすれば、それはかなわない。そもそも国が自ら施設を設置して要介護者を全員入所させる等必要な措置をとることができないから、民間に施設の設置・運営を委ねている(市場に委ねた)のだから、今回の事故はまさに制度が当然に予定しているものなのではないか。その意味で、今回の悲劇の責任は国全体として追うべきではないか。法的には、国の賠償責任(制度責任)を認めるべきではないのか。

投稿者:ゆかわat 08 :37| ビジネス | コメント(0 )

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